2016年12月21日水曜日

はり新の観光案内(法華堂の執金剛神立像)

●毎年12月16日の一日だけ特別開扉される「東大寺法華堂 執金剛神立像」を拝見してきました。普段は静かな法華堂内もたくさんの拝観者でごった返していました。ほとばしる様な憤怒の表情が印象的な素晴らしい仏様でした。

●今年の10月に朝日放送で放送された『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』の中、『(南大門を守る)金剛力士像はもともと執金剛神像というひとつの像が分かれたのも』とのお話がありました。その執金剛神立像(法華堂)を拝見できるのが毎年12月16日です。

 この12月16日は、東大寺初代別当 良弁僧正の命日に当たります。良弁僧正は相模国の生まれだとか近江の国の生まれだとも言われますが、赤ん坊の頃に大きな鷲にさらわれて東大寺の杉にひっかかっているところを僧侶に助けられたとの伝説があります。その後、東大寺の前身である金錘寺に住した後、東大寺創建に尽力されました。執金剛神立像は良弁僧正の念持仏であったとも伝えられ、右腕で金剛杵を振り上げ左手は血管が浮き出るほどにきつく拳を握りしめ、全身で憤怒の感情を表現しています。長い間、秘仏として守り伝えられてきたため表面の色彩がよく残っています。

奈良時代の作とは思えないほど綺麗な色が残っています。
おもしろいことに、執金剛神の起原は古代ギリシャ神話の
英雄ヘラクレスとも言われるそうです。

 写真でみると不自然に捻った腰から不安定さを感じましたが、実際に執金剛神立像の視線の先に立ってみると、本当に生きた仏様に睨み付けられているようで不安定さなど全く感じませんでした。やはり実物を見てみないと判らないものですね。最近の研究では、かつて不空羂索観音菩薩を取り囲むように日光・月光菩薩、戒壇堂の四天王像、そして執金剛神像が配されていたと考えられるようです。それはそれは素晴らしい光景だったことでしょう。来年のこの日も、ぜひ法華堂に来たいと思いました。



拝観は12月16日の10時頃から16時まで。写真は15時ころの法華堂前です。
本当にたくさんの拝観者で賑わっていました。




拝観時間の終わった16時頃の鐘楼周辺の様子。
この後、二月堂に登れば素晴らしいを見ることができます。

この日だけの御朱印をいただきました!