2017年5月16日火曜日

はり新の観光案内(浄瑠璃寺 薬師如来坐像)

●塔の朱色と新緑のコントラストが美しい。浄瑠璃寺三重塔内に安置されている薬師如来坐像を参拝してきました。



●奈良町から京都方面に車で20分ほど、自然豊かな当尾の里に浄瑠璃寺があります。
小さな山門ですが、この奥には素晴らしい国宝 西方九体阿弥陀如来像が
いらっしゃいます
京都の最南端、奈良との府県境に位置するこの一帯は古来より南都(奈良)仏教の聖地として大寺の僧が世俗の喧験を離れ修養、研鑽のため出入りをした地域で小田原別所と呼ばれてきたそうです。浄瑠璃寺の創建は11世紀中頃、当時は旧都(奈良)と新都(京)を結ぶ街道に近かったため色んな意味で重要な地域だったのではないでしょうか。

 こちらのお寺は九体寺(くだいじ)の通称から想像できるように本堂の国宝 九体阿弥陀如来像で有名ですが、今回参拝の目的は三重塔内の薬師如来さん。彼岸の中日と毎月8日、好天の場合に限り特別開扉されます。奈良に住んでいても休日が8日で好天の場合に限られると、意外とお目にかかれるチャンスの少ない仏様です。
今回の目的はこちら。三重塔内を拝むだけなら拝観料は不要です。
この日の目的はこちら。薬師如来さんを拝むことができました。
「ほとけさまの撮影はご遠慮ください」とのことです。

三重塔内に安置されている秘仏・薬師如来像(パンフレットの写真を引用)。この像は九体阿弥陀仏より更に60年前に造顕された浄瑠璃寺最初のご本尊。毎月8日と彼岸の中日、それに1月のみ1・2・3日と8・9・10日(好天の場合に限り)お顔を拝めます。

 浄瑠璃寺の伽藍配置は池を中央にして東に薬師如来を祀る三重塔が、西には阿弥陀如来九体を安置する本堂があります。いただいたパンフレットを読むと、古い寺院の金(本)堂や都の大極殿などは南面(みなみおもて)が原則ですが、平安時代の中頃から京都を中心に阿弥陀如来を東面にまつり、その前に池を造る型が出てきたそうです。平等院鳳凰堂(阿弥陀堂)などがその典型。法隆寺金堂では、東に薬師、中央に釈迦(三尊)、西に阿弥陀の三如来が南面に祀られています。太陽の昇る東にある浄土(浄瑠璃浄土)の教主が薬師如来、その太陽がすすみ沈んでいく西方にある浄土(極楽浄土)の教主が阿弥陀如来であるためです。

三重塔前から本堂を望みます。阿弥陀如来がいらっしゃる対岸が極楽浄土ですね。
今から本堂のある対岸(極楽)に行ってみます・・。

本堂前(極楽浄土)に着きました・・。本堂前から東の三重塔を望みます。
薬師如来がいらっしゃる対岸は此岸(現世)となりますね。

本堂内には圧巻の九体阿弥陀如来坐像(写真はパンフレットより引用)がいらっしゃいます。本堂内では阿弥陀さんを左端から眺めて、右端から眺めて、中尊の前に座って・・、いつもウロウロしてしまいます。光の加減でしょうか気のせいか、印象が違うんですね。

近いうちに予定されている修理が始まればお揃いお姿は暫くの間拝めなくなります。 

それからこちらも忘れてはいけません!秘仏・吉祥天女像(写真はパンフレットより引用)。東向きの本堂で厨子の中にいらっしゃる吉祥天さんを拝むには、光量の多い午前の早い時間が良いとお寺の方に教えて頂きました。夕方近くなると、どうしても厨子内が暗くて細部の綺麗な彩色細工が見えづらくなります。

 浄瑠璃寺は小さなお寺なので30〜40分もあれば境内を見学できると思いますが、ご紹介した仏様の他にも国宝 四天王像(持国天と増長天のみの公開。多聞天、広目天は国立博物館に)や不動明王三尊像など素晴らしい仏様が祀られていてついつい長居してしまいます。秘仏公開の日程を調べて、皆様も当尾の里に出かけてみてはいかがでしょうか。

2017年5月13日土曜日

はり新の観光案内(快慶展@奈良博)

●現在、奈良国立博物館では『特別展 快慶 日本人を魅了した仏のかたち』が開催中です。快慶が関わった仏像がこれだけ集められるのは滅多にないと言われるので、ゴールデンウィークの空き時間を見つけて奈良博まで行ってきました。「出来ることなら毎日でも奈良博に通いたい」と思えるほど素晴らしい内容でした。

        お馴染みの奈良博です。特別展に来るときはいつも楽しみにして来るのですが、今回はいつも以上にワクワクしました。なぜなら建物の中が私の大好きな「快慶」だらけですから(笑)。
●今回の快慶展は、快慶の造仏を数多く所蔵されている高野山金剛峯寺 広目天の修理を待っての開催と聞きました。このタイミングに合わせて、快慶作と言われる仏像の半数以上が世界中から奈良博に集められたそうです。

 いただいたパンフレットには
『快慶(生誕不明 〜 1227年以前)はわが国を代表する仏師のひとりであり、鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たした人物として運慶と並び称されてきました。快慶には確証ある遺品が際立って多く、鎌倉時代初頭の造像界の動向を具体的に知る上で不可欠な存在である』と記されています。仏師の中でも特別な存在ということでしょうか。
この写真では判りにくいですが、朝10時の時点で
エントランスには人が溢れていました

庭園にはナラノヤエザクラ(5月1日撮影)
快慶の作った仏像は左右対称で厚みのある身体と引き締まったお顔、切れ長の眼、それらの調和が安定感を生み、見る者に安心感を与えるような気がします。まあ、私が快慶の作った仏様が好きなだけですけど(笑)。

仏像館入り口の藤(5月1日撮影)
庭園の八窓庵(茶室)
展示は快慶の人生に大きな影響を与えた人物、歴史的出来事を基準に大きく7つに分けられていています。館内では快慶シアターも上映され、人間「快慶」についても少し判ったような気がしました。

図録は店内廊下の端に設置した「はり新文庫」にあります。お食事の前後に店内でご自由に御覧ください。
快慶展は6月4日(日)までの開催です。期間中にもう一度、奈良博に行きたいと思います。まだ、快慶展を御覧になってない方には奈良博に行かれることを強くお勧めします。  

 以下、特に印象の強かった仏様です(画像は図録より引用させて頂きました)

展示ルームに入ってすぐ右手に醍醐寺の弥勒菩薩坐像(画像は図録より引用)






金剛院 深沙大将立像(画像は図録より引用)。御堂とは違い、前後左右から拝見できることが博物館で仏像を鑑賞する醍醐味ではないでしょうか。背面から見てとても驚きました。彫刻で、ここまで躍動する筋肉を表現できるとは。
金剛院 執金剛神立像(画像は図録より引用)
金剛峯寺 朱雀明王坐像(画像は図録より引用)。前回はハルカスミュージアムの高野山展で拝見しました。前回とは展示台の高さが異なるためか、少し印象が異なりました。見上げる角度が違うだけで印象が変わるのですね。





金剛峯寺 広目天立像(画像は図録より引用)。素晴らしい。

東大寺 僧形八幡神坐像(画像は図録より引用)

正壽院 不動明王坐像(画像は図録より引用)
アメリカ キンベル美術館(画像は図録より引用)
快慶は三尺阿弥陀如来立像(約90センチ)を数多く制作したのですね。

今回の快慶展は欠席でした、残念!阿倍野文殊院 渡海文殊(画像は図録より引用)


2017年5月9日火曜日

はり新の観光案内(萬葉植物園)

ゴールデンウィークが終わってすぐに春日大社神苑 萬葉植物園に行ってみました。ピークは過ぎていましたが、まだ綺麗な藤の花を楽しめました。