2017年10月19日木曜日

はり新のお料理(「木守柿」の作り方)

●以前にも取り上げましたが「木守柿」の作り方をもう少し詳しくご説明します
少し手間はかかりますが、調理は簡単

●秋の終わり頃、柿の木の天辺に真っ赤に熟した実が1〜2個だけが残ってるのを見掛けませんか。この柿を「木守柿」と呼び、冬の季語にもなっています。

 『柿の実を取る時は一番高い所にある実を取らずに残しおくように』と小さい頃に祖父から教わりました。神様の取り分だとか。厳しい冬を迎える鳥のために残しておくとも聞きました。この木守柿にちなんで、秋〜初冬には鶏卵を細工して作った「木守柿(もどき)」を作ります。




 木守柿は温泉玉子の黄身を味噌漬けにして鼈甲玉子を作り、これを細工して木守柿に仕立てます。(生卵の卵黄から直接、鼈甲玉子を作る方法もあるようですが、今回は温泉玉子から作ります)

 まずは温泉玉子を作ります。室温に戻した鶏卵を水から茹でて、湯温が65~70℃になったらその温度を40~50分間維持します。温度計を入れて40~50分間温度計を見て温度管理するのも良いですが、保温力のある大きめの土鍋なら70℃まで湯温が上がったら火を消してそのまま放置しておいても大丈夫です(蓋をしてくださいね)。

70℃以上にならないように気をつけて


 所定の時間経ったら、鶏卵を水に入れて粗熱をとってから殻と卵白を取って卵黄を取り出します。卵黄についた薄皮も丁寧に取ります。

 白味噌に味醂を加えて適当な固さに調整します。味噌の上にガーゼを敷き、その上に卵黄を乗せてからガーゼと味噌を乗せます。
味噌にガーゼを敷き、その上に温泉玉子の黄身を
乗せます。黄身はやさしくやさしく取り扱いましょう。

黄身の上にガーゼを乗せてから味噌を乗せます
卵黄に重みが加わると変形するので気をつけます
 温泉玉子を味噌に漬けたら2~5日間冷蔵庫で保管します。この状態(味噌床に漬かっていれば)で数日間は日持ちします。味噌床の中で温泉玉子は鼈甲色に変わります。


3日間味噌に漬けた玉子


 この後、鼈甲色になった温泉玉子(べっこう玉子)に昆布で細工して木守柿に仕上げます。
昆布を使って"へた"を作ります
昆布が少し厚いので半分に剥ぎました
細く切った昆布は軸にします

へたと軸に見立てた昆布を鼈甲玉子に乗せると
どうです、木守柿にみえませんか

より秋っぽさを演出するため木守柿を柿の葉にのせて


木守柿と栗、銀杏を色づいた柿の葉にのせると
色合いが綺麗ですね

鼈甲玉子を平たく伸ばして成形すると
イチョウの葉にもなります
 見た目も綺麗ですが、白味噌の甘味と塩気が染みこんだ木守柿はとっても美味しいですよ。

2017年10月7日土曜日

はり新の観光案内(鹿の角きり、切り落とされた鹿の角)

●10月7日〜9日の三連休は春日大社鹿苑で「鹿の角きり」が催されます。
奈良鹿の愛護会「鹿の角きり」案内チラシへ PDF

 オス鹿の角は毎年生えかわり、春先(2~3月)に自然に脱落して4月頃から新しく生え出します。秋になり角が完成する頃にオス鹿は発情期をむかえ、鹿がお互いに突き合って死傷したり人間に危害を加える恐れがあるため江戸時代初期、鹿の管理者であった興福寺が奈良町奉行の要請を受けて始めたと伝えられています。

 この行事は勢子(せこ)といわれる人たちが、角きり場に追い込まれた荒々しい鹿を捕まえ、神官によって角を切るという古都の秋を彩る勇壮な行事です。奈良市観光協会のサイトから引用しました

 子供の頃に角切を始めて見たとき、素手で角をつかんで雄鹿を押さえ込んだ勢子さんを見て興奮した思い出があります。

 春〜夏頃まで興福寺五重塔の前にはオス鹿だけの群れが居ます。一日中、ごろ〜んと寝っ転がりダラダラと過ごしています。が、夏の終わり頃からテリトリー意識が強くなり単独で行動するオスが増えてきます。秋になると角が完成し、ひとまわり身体の大きくなったオス鹿は、ヌタ場と呼ばれる泥地で泥に尿を混ぜて自分の身体に塗りつけます。人間には少し臭いのですが、これってメス鹿の気を引きたい必死のオシャレらしいですよ。発情したオス鹿に人が近付くと、前足をトントンと地面に叩きつけて人を威嚇します。不用意に近付いて刺激しないようにしましょう。数頭のメスを従えてハーレムを作ったオスは、夏前の冴えない"昼行灯"のような鹿とは大違いで、精悍な顔立ちで絶えずテリトリーを監視しています。

 以前、奈良の鹿愛護会様から鹿の角を送って頂いた事がありました。鹿まつりの抽選で当選したとのこと。鹿の角は、財運向上を約束してくれるラッキーアイテムらしいので、奈良の伝統工芸士さんに加工をお願いすることにしました。工芸士さんにお渡しする前に撮った写真をご紹介させて頂きます。
角はオス鹿にだけ生えます。満1歳で初めて生える角は枝分かれもなく1本の状態で生えます。7~8歳の壮年期には約60cm長さで三又四尖(さんさよんせん;3つに分かれて4つの枝角が生える)の立派な角になります。気象条件や餌の影響で左右対称にそろった角は1割ほどの鹿に限られ、10歳を超えて老齢期に入ると角は縮小傾向になり枝角がでなくなります。鹿角って意外と重いです。これが頭の上に乗っていると肩が凝りそうです。



角の断面はこんな感じ、始めて見ました。鹿の角は毎年生え替わります。2~3月頃、古い角が自然に落ちて4月頃から新しい角が生えてきます。この状態を「袋角」といい、1日に約2㎝も成長するといいます。秋になると角の成長と血流が止まり、表皮がはがれ落ち完成した硬い角になります。完成した角には血管も神経も通っていません。中央に細かな穴が開いていますが、血管の跡でしょうか。

表面がこんなにデコボコ、ゴツゴツしてると
初めて知りました

先端は硬くて鋭く尖ってます
これで突かれたら凄く痛そう・・

2017年10月4日水曜日

掲載誌のご紹介(ノジュール10月号/JTBパブリッシング出版)

●JTBパブリッシング出版のノジュール10月号にて当店をご紹介頂きました


●JTBパブリッシングのサイトを見ると、雑誌ノジュールは「50代からの旅と暮らし発見マガジン」と紹介されています。「旅」「健康」「暮らし、ライフプラン」「50からの手習い、60の再挑戦」「社会とのつながり」をテーマに、50代からの「自分ライフ」を面白くするヒントをお届けするライフスタイル誌ですね。

 本来「ノジュール」という単語は鉱物学の専門用語で、硬くて丸い石球(団塊)をそう呼ぶそうです。「団塊の世代」の語源にもなったもので、球の中心にアンモナイトや三葉虫などの化石が入っていることがあるとか。自分の中に眠っている才能の発見や新しい趣味の始め方など、"50代からの自分ライフを3倍楽しく"過ごすための情報が掲載されています。


 当店は『特集、秋色に染まる紅葉の奈良』のコーナーにて、粟ならまち店様、冨久傳様、柳茶屋様と一緒のページに掲載していただきました。他にも奈良ホテル様、佐久良様、本家菊屋様、千代の舎 竹村様、白玉屋榮壽様、江戸三様、四季亭様、むさし野様、奈良町宿 紀寺の家様とご一緒させていただきました。


 談山神社、吉野山、正暦寺の素晴らしい紅葉の写真もあります。その他にも日本最古の道「山辺の道」と一緒に秋の奈良の魅力をご紹介いただいております。
→ JTBパブリッシング「ノジュール」

 

2017年10月3日火曜日

はり新の◎◎案内(三輪山登拝@大神神社)

●日本最古の神社、大神神社は本殿を持たず拝殿からご神体の三輪山を拝む原始信仰の形をとります。先日、そのご神体山である三輪山へ登拝に行ってきました。(登山ではありません、登拝ですよ)

* 上記のブログ題名を通常(はり新の観光案内)とするところを、今回は(はり新の◎◎案内)と書かせて頂きました。観光気分で三輪山に入ることは決して許されない、そんな雰囲気でした。
三輪山登拝口は狭井神社にあります。狭井神社は三輪の神様の荒魂(あらみたま)を祀り、その力強い神威から病気平癒の神様として信仰が篤い。境内の一角に三輪山登拝口があり、その正面に登拝申し込み口があります。代表者の名前と住所、携帯番号を専用用紙に書いて提出、鈴の付いたタスキを受け取ります。ロッカーを使えるので不要な荷物は預けた方が無難、持ち物は水、タオル、竹の杖、お賽銭だけで問題ないでしょう。竹の杖は長めのものを借りた方が良いと思います。入山するとトイレや給水設備はありません。約束事を守って敬虔な心で入山しましょう。

●大神神社で頂いた案内図に次のように記載されています
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『三輪山は高さ467m、周囲16km、面積350ha、全山が杉、松、檜に覆われ太古より神が鎮まる聖なる山と仰がれてきた。大国主神(おおくにぬしのかみ)が自らの魂を大物主大神(おおものぬしのおおかみ)の名で三輪山に鎮めたことが記紀神話に記されている。ご祭神の大物主大神は国造りの神であり、農、工、商業全ての産業開発、方除、医薬、造酒等人間生活全般の守護神で、三輪の明神さんとして、弘くそのご神徳が仰がれている』
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大神神社のHPには
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『三輪山は太古の昔より神さまの鎮まる神聖なお山で、禁則の山として入山が厳しく制限されてきました。近代になり、熱心な信者の方々の要望もあり、特別に入山を許可することとなり現在に至っていますが、もちろん三輪山への登拝は「お参り」が主眼であり、観光や一般の登山・ハイキングとは異なることに充分留意し、敬虔な心で入山いただきます。』
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と記載されています。受付で神職の方から水分補給以外の飲食厳禁、草木小石ひとつも持ち出し禁止、撮影禁止を告げられます。(お山で見たこと聞いたことは他言厳禁・・、とは言われませんでしたが、そんな雰囲気にも思えました)
三輪山登拝について(大神神社web siteへ)
登拝できない日が決まっています。入山登拝禁止日○1月1日〜3日 ○2月17日 ○4月9日 ○4月18日(午前 のみ) ○10月24日 ○11月23日 ○その他、天候により登拝が禁止になる日もあります

狭井神社の登拝受付口で申込書を書いて300円を添えて納めます。「三輪山参拝証」と書かれた鈴の付いたタスキと簡単な登拝ルートマップを頂きます。最初はチリン〜チリン〜という鈴音が気になるけど、そんな事を気にする余裕がないほどの急勾配が待っています。途中、白装束と裸足で登拝されている方が "忍者"かと思えるようなスムーズな足運びで足場の悪い石段を"鈴音を鳴らさずに!"追い越していかれたのが印象的でした。

入山前には自祓
作法は説明書きがあるので、それに従いました
出来るだけ竹杖を借りましょう
少し長めの方が良いと思います
大神神社の手水舎にも杖が用意されていますが
登拝口に用意されている杖が長くて丈夫なので
こちらで借りた方が良いでしょう
入山前に再確認。禁止事項がたくさんあります。基本的に信者さんが"修行"のために行うのが"登拝"のようです。決して信者さんの邪魔にならないよう注意しましょう。 

 さて、神職さんの注意を聞き、狭井神社のトイレをお借りして霊水を水筒に入れたら準備完了。自祓いしてから入山しました。

 お山に入ると暫くは階段が続きます。「本気で登拝する気持ち」と信仰心を問うように階段が続きます。階段を登りきると次は平坦な尾根道が続くのでここで息を整えます。その先の小さな丸太橋を渡ると、そこから先は小さな自然石を不規則に並べた足場の狭い階段を小川に沿って登ります。この辺りから登山とは異なる「修行」としての登拝の意味が少しずつ理解できます。参道には木々の根がはりだしているので常に注意が必要です。道の脇に注連縄で結界をはった磐座が数カ所あります。基本的に道は一本道なので迷うことはないと思います。この道を裸足で登拝する人は凄いなと考えていましたが、登山靴を手に持って裸足で下山する御夫婦とすれ違いました。二人の姿を見て自分も裸足で登拝してみようと思いましたが、普段の運動不足のためか既に膝ががくがくで、ここで靴を脱ごうとしたらそのまま姿勢で転げ落ちそうな気がしたので裸足はやめました。

 山で見たことを細かく紹介するわけにはいかないので、この先の説明は省きます。登頂しても素晴らしい景色が迎えてくれるあるわけではありません。頂上に着くと迫力ある武骨な磐座が正面にあるだけです。その磐座の後ろでは白装束で一心不乱に祝詞を上げていらっしゃいました。少し異様な雰囲気でもありますが、原始信仰のかたちを守る大神神社らしい良いところだと思います。(京都にも信者さんが聖地を守っていらっしゃるお山がありました。現在は観光地化してたくさんの観光客が集まる人気スポットとなり、信仰の聖地としての面影はありません。大神神社は今のままであり続けてほしいと思います)

 下りは不規則な石段や大きな段差により、膝に大きな負担がかかるので竹杖を上手に使いましょう。すれ違う登拝者とは挨拶を交わしましょう。女性ひとりで登拝されている方が多くて少し驚きました。

 我々夫婦はゆっくり登り1時間、慎重に下り1時間、合計2時間かけた登拝でした。山中では常に頭上を木々に覆われていたので日差しを感じることはありませんでした。そのためか急勾配の上り下りにもかかわらず、それほど疲労感を感じることなく気持ちよく帰路につくことが出来ました。もう少し大神神社のことを勉強してから、改めて登拝させて頂きたいと思いました。