●奈良盆地を南北に走る古道・上ッ道を南に進むと大神神社の前を通過して山田寺跡に続きます。この山田寺跡のすぐ近くにあるのが「奈良文化財研究所 飛鳥資料館」。橿原神宮前駅からレンタサイクルを利用して行くのも良いと思います。
通常は1時間ほどで見学できると展示内容だと思いますが、飛鳥時代好きの私には3〜4時間ジックリと時間を掛けてトコトン古代を堪能できる大好きな資料館です。このブログで全てを紹介するとキリがないので、ここでは極簡単にご説明させていただきます。
7世紀頃、日本の文化・政治の中心であった飛鳥には今でもたくさんの遺跡が埋まっています。飛鳥資料館では発掘資料を中心に、飛鳥研究の成果をわかりやすく展示されています。資料館のエントランスを通るとまず、「亀石」「猿石」のレプリカが迎えてくれます。飛鳥地方には斉明天皇の時代に作られたと思われる石像物がたくさんありますが、用途の判らないものも多く、ミステリアスな時代という印象を受けます。
資料館の館内は大きく二つに分けられ、第一展示室では万葉集、宮殿、石像仏、古墳、寺院の5テーマについて展示されています。そして第二展示室は古代の寺院「山田寺」の発掘成果について判りやすく説明されています。
第一展示室は、各テーマを更に政治、豪族、文化についてカテゴリーを絡めてまとめられています。川原寺や大官大寺・・、とてつもなく大きな大寺院が礎石だけを残して消えてしまった事が勿体なく、悔しいですね。
一方、第二展示室は山田寺の研究成果の展示のためだけに用意されています。これには理由があって、奇跡的に原形をとどめた状態で発見された山田寺東回廊は古代建築の貴重な貴重な資料でした。しかし、それは今にも崩壊しそうな木造建築部材を回収、保存するという難題と奈良文化財研究所の戦いでもあったようです。そのため第二展示室は、この一連の研究と保存作業の説明にスペースを割かれています。
正直なところ、第二展示室は "ポリエチレングリコール含浸法" など多少、科学的な知識があるほうが楽しめる内容でしたが、第一展示室については多少の予習をしていけば充分に楽しめる展示だと思います。
飛鳥宮のジオラマには当時の最先端技術、水時計の模型がありました。水時計の解説がありましたが、実に繊細な仕掛けです。 |
水時計は釣鐘と組み合わせて飛鳥京に時刻を伝えていたようです |
現在の山田寺跡。山田寺は蘇我倉山田石川麻呂(蘇我入鹿のいとこ)が建て始めた寺院でした。石川麻呂は蘇我入鹿殺害クーデタに加わり右大臣に任ぜられましたが、のちに反乱の疑いを掛けられてこの寺で自害しました。その後、彼の疑いは晴れて皇室の援助で寺の造営は続けられて7世紀後半には完成しましたが、次第に衰退して歴史から姿を消してしまいました。 |
復元された山田寺東回廊の一部。倒れた回廊が土の中で千年近くその姿を奇跡的に残していました。しかし、長い時間、水につかっていた木製建築部材をそのまま取り出すと乾燥により変形や崩壊の恐れがあるため奈良文化財研究所はPEG(ポリエチレングリコール)を水と置換するという手法を採りました。それは15年がかりという壮大な作業だったようです。 |
飛鳥時代、発掘調査に関する文献を自由に閲覧できます。 この本棚の前だけで1日は過ごせます(笑) |
現在、ここには大化山山田寺観音堂が建っています。予備知識がないと芝の生えた空き地とみえるところですが、蘇我倉山田石川麻呂や飛鳥時代のことを知ってここに来ると色んな事が想像できます。 |
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