「弥生時代なんて未開人だから面白い遺跡などあるの?」などと舐めてましたが、その智恵と技術力には舌を巻きました。
今から2200年以上前、奈良県田原本ではこの様な光景が見られたのではないでしょうか |
●奈良盆地の中央部に位置するこの場所は今から約2200年前、近畿地方では最大級の大集落でした。そこには全国から翡翠や土器が集まり、銅鐸や青銅器を作って各地に送りだしていたようです。
地図で場所を確認しておきます(地図は八木札の辻に掛かっていたものを拝借)この地図は奈良盆地を表し、北側の赤色の格子が描かれている場所が平城京、南側の赤色格子が藤原京。新旧二つの都の間を上ッ道、中ッ道、下ッ道の大和三道が走ります。唐古・鍵遺跡と呼ばれる弥生期の遺跡は藤原京の北側、下ツ道周辺から見つかっています。奈良町からは車で約30分、下ツ道(国道24号線)を南下して行けば到着します。 |
奈良町から車で約30分、公園東側の駐車場に車を停めました。駐車場周辺には広大な水田が拡がります。かつて湿地だったこの辺りは昔から米作りに適した場所だと聞いたことがあります。2000年以上前からこの水田風景は変わらないのではないでしょうか。 |
駐車場の端に公園内の地図があったので位置を確認しておきます。公園中央に唐古池があり、その左下(南西)にランドマークの復元楼閣が建ちます。公園面積は42haですが、遺跡はこの何倍もの広大な範囲に広がっています。(現在までに調査がすんだのは全体のたった9%らしい) |
駐車場から公園に入り左の方に歩き進みます。この辺りが「弥生の林エリア」、周囲の土壌から発見された植物の種子や農具に使われた木材などを元に選定された樹木が植栽されています。クヌギ、コナラ、クスノキ、ムクノキ、クリ、シラカシなどなど。去年〜今年に植えられた若い樹木なので今後、樹木が大きく生長して林になるのが楽しみです。 |
「弥生の林エリア」を抜けると遠くに楼閣が見えてきました。「弥生の建物広場エリア」から楼閣へと 近付いてみます。 |
「弥生の建物広場エリア」から楼閣に近付くと赤褐色の円柱が整然と並んで建っていることに気付きます |
約2200年前に建っていた大型建物跡がこの辺りで発掘され、その柱を現しているのがこの円柱です。大型の高床倉庫と考えられているそうです。(柱一本が太い!) |
復元楼閣に着きました。高さ12.5m、出土した絵画土器に描かれていたものを参考に平成6年に建設したもの。実はこの様な建物が建っていたという痕跡は未だ見つかっていないようですが、時代の異なる二つの土器に同じ楼閣の絵が描かれていたことなどから、いずれかの時代に楼閣のような建物が建っていたと考えることができるそうです。 |
数年前、下ツ道を歩いた時にチョコッと立ち寄って復元楼閣を撮影していました。その時と比べてみると屋根など少しアップグレードしていますね。 |
復元楼閣から遺構展示情報館に向かいます。その途中で、環濠の一部が再現されていました。環濠を作った目的は外敵から村を守るためだけでなく、地下水の水位を下げることにもあったそうです。(この辺りは50~60cm掘り下げると水が染み出してくる場所なので、そのままでは竪穴式住居も作れない。村の周囲に溝を掘ることにより地下水の水位を下げる必要があったそうです) |
遺構展示館に到着。公園裏手の駐車場から入園したので、こちらが公園の正面になります。 |
入り口にはキャラクターの「楼閣くん」 |
遺構展示情報館に入ると壁際に唐古・鍵に存在した弥生時代の村の想像図がありました。周囲を川が何本も流れ、その内側に環濠を何重にも巡らしています。環濠の長さは総延長数キロ〜数十キロにもなり、水の流れを計算して水路を整備するには高い土木技術が必要だそうです。 |
想像図の近くにはジオラマ 映画"ナイトミュージアム"みたい! |
遺構展示情報館のメイン展示はこちら「独立棟持ち柱」の建物遺構。伊勢神宮の正殿と同じ建築様式で、神聖な領域に建てられた建物の跡と考えられるそうです。それはそれは大きな柱跡が並んでましたよ。 |
遺構展示情報館を出て道を渡ると道の駅があります |
こちらでは県内初!アイスブリュードコーヒーを飲むことが出来ます。泡が一杯、まるで生ビールみたい。冷たくて美味しかった〜。 |
なんでこの唐古・鍵に県内初のアイスブリュードコーヒーがあるかというと、この唐古はUCCコーヒー創業者 上島忠雄の出身地のようです。UCCコーヒーにとって特別な場所なんですね。遺跡公園に隣接してUCC唐古庭園もありました。 |
現在も唐古・鍵一帯は土地が肥え、美味しい大和野菜がたくさん採れます。この地で得た米を力とし、唐古・鍵の弥生人は各地と物々交換をして富を得、多重環濠や楼閣を持つ事により村を守り、周囲にその力を示した地域のリーダーだった・・、そんなことを想像した一日でした。 |