2014年10月15日水曜日

はり新のお料理 〜子持ち鮎〜

山椒の香りをたっぷり含ませて
●子持ち鮎の美味しい季節です

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●子持鮎の出荷が最盛期を迎えております。鮎は年魚といわれるように寿命はほぼ一年で、秋に卵から孵化し海へ下り、翌春に川を遡上して成長します。そして、秋には成熟して産卵した後にその生涯を終えます。


夏の終わり頃、日照時間が短くなり水温の低下が始まると鮎は腹に卵や白子を作り始めます。その卵や白子が大きくなると、縄張り捨てて次第に下流へと下り始めます。この様に、産卵に備えて川を下る鮎を落ち鮎といいますね。また、体表が茶色っぽくなるので、その姿を錆びた刀にたとえてサビ鮎とも呼びます。初夏に出回る若鮎に比べて皮も骨も硬くなり、栄養が卵や白子に集まるので次第に鮎の身には脂と弾力がなくなります。当店ではシーズン初めの子持ち鮎は塩焼きでお楽しみ頂き、後半では味を含ませた山椒煮をお勧めしております。鮎の山椒煮の調理は、最初に素焼きして充分に焼き色を付けることから始まります。次に、素焼きした鮎を充分に蒸し器で1時間じっくりと蒸し上げてから酒、砂糖、醤油で味付けします。最後に山椒の実を散らせば完成です。1時間蒸し上げるので骨も柔らかくお召し上がりになれます。この時期だけの御馳走ですね。10月終わり頃まで、会席料理の一品として御用意させていただきます。 



2014年8月13日水曜日

はり新の周辺観光案内  〜 まんなおし地蔵尊 〜

まんなおし地蔵さん!
●奈良はお地蔵さんの多い地域ですが、今回は少し珍しいお地蔵さんをご紹介させていただきます。運気好転のお地蔵さんですよ。

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石碑から左道へ
●昔から運が悪いことを「間が悪い」とも言いますね。関西の一部では「万が悪い」とも。その悪い間(万)を直していただける有り難いお地蔵さんが「まんなおし(万直し)地蔵」さん。商売繁盛の御利益があるとも言われます。

石碑から10分弱の登り道
場所は東大寺二月堂の裏側です。大仏殿の北側の道を上って行き、石碑を目印に左側の小道を進むと10分弱でお地蔵さんに着きます。または、不動堂から北側に歩いても10分弱だと思います。二月堂の奥の階段を進んでも辿り着けるようですが、私はこちらからは行った事がないので詳しくは判りません。

商売繁盛を願う人は、お地蔵さん近くに埋められている小銭を探して持ち帰ります。そして次に来る人のために小銭を埋めて帰ります。面白い習慣ですね。
坂道を暫く進むと
燈籠が見えてきます
お地蔵さんの後ろには小さな小さな御稲荷さんの塚も祀られています。忘れずにお参りしたいですね。

当店からは徒歩で30分強かかります。奈良公園の散策を楽しみながら、まずは二月堂を目指してください。



不動堂からの道沿いに
いらっしゃいます。

不動堂から歩く道




2014年8月11日月曜日

はり新のお料理 〜 栗丸十栂尾煮 〜


 ●サツマイモを栗の甘露煮に見立てた「栗丸十栂尾煮」を作りました。
栗に見えますか?












●暦の上では立秋を過ぎました。連日の暑さに疲れて秋の食材が待ち遠しくなる頃ですが、奈良県下で生栗が出回るのは来月の中頃です。本物の栗が出てくる前に新サツマイモを栗の様に仕上げる「栗丸十栂尾煮」と呼ばれるお料理がありますがご存じですか。ちょっとした和食の遊び心ですね。

これくらいの大きさの
サツマイモが
ちょうど良いです
栗に似るように剥きます
サツマイモ(薩摩芋)は別名「かんしょ」「からいも」「りゅうきゅういも」とも呼ばれます。また、薩摩藩島津氏の家紋が丸に十字であることから「まるじゅう(丸十)」とも言われます。この丸十を甘く煮たのが栂尾煮。栂尾煮とは、栂尾・高山寺の精進料理から始まったとか、「栂尾」という料理屋が創案したとか言われることに由来します。
クチナシの実を入れて
下茹でします
作り方は、サツマイモを栗の型に整えます。やはり新芋は剥きやすいですね。

この芋をクチナシの実で色付けしながら茹で上げ、シロップで甘味を含ませます。どうです、栗に見えますか?この栗丸十栂尾煮は会席料理の前菜に添えております。

2014年7月24日木曜日

はり新の周辺観光案内 〜 元興寺「地蔵会」、蛍の会「夢まつり」〜



●グルメ屋台の祭典とも呼ばれる「夢まつり」の開催に向け、準備が本格的に始まりました。824日(日)は世界遺産元興寺にお越しください。お手伝いしてくださるサポートスタッフも募集中です。当店も協力店として参加しております。









●蛍の会主催「まんぷく供養 夢まつり」は今年で11回目を迎えることになります。今年のメニューは8月上旬には決定する予定です。参考までに第2回夢まつりのメニューを振り返ってみると「フォアグラ入りオムレツ トリュフソース(500円)」など驚きのメニューがありました。現在は様々な規制があり、このようなメニューを御用意することは出来ませんが、今年も限られた条件の下、最高のお料理で地域の方々や元興寺さんへ御奉仕できるように出店者、サポーターが一丸となって準備を進めております。出店店舗やメニューなどは「蛍の会フェイスブックページ」でご確認ください。
第2回夢まつりのメニューの一部


第2回夢まつりのメニューの一部


★この祭りの経緯と蛍の会について・・。
夢まつりは11年前の1月夜、欧風料理「フリポンヌ」オーナーシェフと居酒屋「波多野」オーナーが奈良の飲食店をPRすると同時に奈良に活気を呼ぶ方法はないかと議論した結果、発案企画されたものです。

その後、趣旨に賛同してくれた飲食店関係者と奈良女子大学の学生を中心とした一般協力者が集まり企画の実現を目指しました。元興寺ご住職に相談したところ、祭りの開催場所として元興寺境内の使用を快く引き受けてくださいました。町の活性化が第一の目的ですが、飲食店のイメージアップとPRもしたいという我々の勝手な願い受け入れ、我々飲食店関係者が地域に貢献することの大切さを自覚できるまで見守って頂いたご住職には感謝の言葉もございません。

夢まつりも昨年で10回目の区切りの年を迎え、今年は若手の飲食店主を中心とした新たな実行委員で準備を進めております。蛍の会は、奈良と奈良町が大好きな店主店舗、サポーターの集まりです。地域活性化という目的はまだ道半ばですが、少しでも皆様の役に立ちたいという気持ちでスタッフ一同、夢まつりの成功を願っております。今年の地蔵会、夢まつりはちょうど週末に当たります。82324日は是非、元興寺へ足をお運びください。

元興寺本堂(国宝)。この前で吹奏楽団や
琉球国祭り太鼓の演奏が賑やかに執り行われます。




2014年7月22日火曜日

はり新のお料理 〜丸茄子〜

●大和伝統野菜のひとつ、丸茄子の美味しい季節がやってきました。
この艶!

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丸茄子の特徴は深紫黒色の皮と真ん丸の形。皮は硬いが身は引き締まり味が濃く、肉質が緻密で火を通してもしっかりと歯ごたえが残ること。奈良県下のスーパーでは1個ずつバラ売りされる事もあります。丸茄子を見たことがない方は一度、スーパーなどで手にとってみてください。その大きさと重さと固さに驚かれることでしょう。

丸茄子の含め煮 
利久庵
奈良の食文化研究会出版「出会い大和の味」の説明を引用させていただくと「京野菜として有名な賀茂茄子は収穫後、すぐに色あせて俗に言う呆け(ボケ)茄子になってしまいます。約40年前、その賀茂茄子を品種改良しているうちに突然変異で今の丸茄子ができ、品質も変わらず日持ちも良いものが出来た。」丸茄子は一般的な茄子に比べて遺伝学的には原種に近く、自分の身を守るため大きく長いトゲが枝やウテナ(ガクの事)に残ります。農家さんを悩ますところですね。
丸茄子の田楽


丸茄子を調理する際、問題は硬い皮です。下地の綺麗な緑色を残しながら皮を剥いてしまうか、細かく切り込みを入れます。あとは、煮ても焼いても揚げても美味しい!当店の会席料理では丸茄子田楽や、素揚げした丸茄子に刻み茗荷と大根おろしをたっぷりかけた丸茄子煎りだしとしてお出しします。丸茄子の出荷は春頃から始まりますが、やはり7〜9月初旬のものが味が格別ですね。

2014年7月20日日曜日

はり新の周辺観光案内 〜真夏の怪談(奈良で一番古い寺院、元興寺にて)〜


●暑い夜に、怖〜いお話はいかがですか?1300年以上の永い時間、古都の一角で佇んできた元興寺の禅室で怪談話を聞けます。
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●奈良時代から続くお寺の御堂で怪談・・、これは暑さも吹っ飛びますね。奈良町は日本一古い町と言われます。町中には色んな言い伝えや、戒めを含んだ怪談話がありますよ。こんな企画を誰が思いついたのでしょうか・・(苦笑)
元興寺は当店から徒歩5分の距離、事前にお申し付け頂ければナイトカルチャー開演に間に合うようにお料理を御用意させて頂きます。真夏の暑さにお疲れの方は是非、参加してみてください。



元興寺 禅室(国宝)
元興寺・・西暦588年、飛鳥の地に我が国初めての正式仏寺として建立された法興寺(飛鳥寺)が平城京遷都と共に奈良の地に移り元興寺となりました。建立は東大寺や興福寺よりも100年ほど早かったわけですね。元興寺は平安時代前期までは南都七大寺の中でも指導的な役割を果たしましたが、平安時代後期からは中央政府の権力の衰えから荘園、寺領からの収入が困難になり、天台宗・真言宗の新しい寺院の興隆、貴族と特別の関係をもつ寺院の強大化などにより衰退の道を辿ることとなりました。中世からは智光曼荼羅を中心とする浄土信仰のほかに地蔵信仰、聖徳太子信仰、弘法大師の真言信仰などが入り交じった混然とした状態で群集を集め、辛うじて近世にその伽藍と伝統を伝えることとなりました。戦後、文化財保護法のもとで解体修理保存、調査、発掘がすすむと、その文化的価値が高く評価されるようになり1998年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

2014年7月19日土曜日

はり新のお料理 〜 ミニトマトのワイン煮を生麩パフェに 〜

 7月、生麩パフェに添える季節の一品は「ミニトマトのワイン煮」です。

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7月中旬になると奈良町も盆地特有の蒸し暑さに覆われます。しかし、旬の食材にはこの気候を乗り切る栄養がたくさん詰まっています。日本の四季に感謝して旬の食材を頂きたいものですね。
さて、ご好評を頂いている生麩パフェですが、今月は旬の食材としてミニトマトを使い、これを蜜煮(ワイン煮)にして添えております。煮小豆に負けないように濃いめに煮詰めております。その結果、浸透圧の関係でミニトマトはシワシワになってしまうので梅干しに見えますね(笑)。生麩パフェとトマトワイン煮の意外な組み合わせをお楽しみください。

* ミニトマトのワイン煮  ・・・ 湯むきしたミニトマトをロゼワイン200ml/グラニュー糖50gで煮詰めます。煮詰め加減はお好みでどうぞ。

2014年7月18日金曜日

はり新の周辺観光案内 〜 喜光寺 〜

喜光寺は蓮の花で有名


825日まで「ロータスロード」と銘打って薬師寺、唐招提寺、喜光寺の蓮を楽しむ企画が催されています。


綺麗な南大門です


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●奈良盆地も蒸し暑い日が続くようになりました。もうすぐ梅雨明けでしょうね。ちょうど今、蓮の花が綺麗に咲いていると聞き、西の京〜菅原の三寺をお参りして来ました。今回は、その中から喜光寺をご紹介したいと思います。
   
試みの大仏殿と呼ばれます
喜光寺の受付で頂いたパンフレットによると、「喜光寺は奈良の都のほぼ中央に当たる平城京右京三条三坊に位置し、養老5年(721年)、行基菩薩によって創建。古くは「菅原寺」と呼ばれていましたが、天平20年(748年)に聖武天皇が参詣された際、ご本尊より不思議な光明が放たれ、そのことを喜ばれた天皇より「喜光寺」という寺号を頂いた。」そうです。お寺の多い奈良公園エリアから離れているため見落としがちですが、これは素晴らしい歴史のお寺ですね。行基菩薩は東大寺造営に当たり、喜光寺の本堂を参考にされたという伝承から、この寺は「試みの大仏殿」といわれるそうです。そう言われれば、本堂は大仏殿を連想させるものがあります。
とぐろを巻いた蛇の姿ですが、頭部は
老人の顔にも見えます
また、「菅原」という地名から気付かれる方もいらっしゃると思いますが、この菅原の里は菅原道真の誕生の地と言われるところです。学徳円満・合格祈願の寺としても信仰を集めているそうです。

本堂の裏側には弁天堂があり宇賀神王が祀られています。特別開扉は毎年7月中旬の「施餓鬼供養法要・暁天講座」の3日間だけですが、今年は特別に825日まで開扉されるそうです。財福等に霊験あらたかと言われる神様です、私も充分に時間をかけてお参りさせて頂きました(笑)。

約100種類、200鉢を越える蓮の花が境内を覆う様子は、さながら阿弥陀仏の極楽浄土を映し出したかのよう、と表現されます。今年は、開花が50年に一度、100年に一度とも言われる双頭蓮が咲きました。あいにく私が喜光寺に行くことができたのは、双頭蓮が散った後でしたが、残った花托も50年に一度の貴重な物です、しっかりとデジカメに保存させて頂きました。
薬師寺、唐招提寺を拝観される方は是非、足を伸ばされて喜光寺も拝観されることをお勧めします。当店から喜光寺までは近鉄奈良駅から電車と徒歩で30分ほどです。

私が参拝した1週間前には
双頭蓮が咲いていた
そうです。50年に一度の吉兆!


花托だけでも撮影させて
いただきました!

石仏も魅力です




2014年7月14日月曜日

はり新のお料理(夏のお料理に鮮やかな"あお色"を添えるハス芋)

● 夏のお料理に鮮やかなあお色を添えてくれる食材、ハス芋(ハスイモ)。
手前が紅ズイキ、奥がハス芋

● 里芋の茎を食用に柔らかく栽培したものを一般に「芋茎(ズイキ)」と呼びます。ズイキには、皮の赤い紅ズイキ、軟白栽培した白ズイキ(別名;白ダツ)、緑色の蓮芋(ハス芋)の三種類があります。この中でハス芋は、芋を食べずに茎だけを食べる品種で灰汁が全くないので皮を剥いて生でサラダとして食べることもできます。一方、紅ズイキと白ズイキは灰汁が強いので必ず酢水で下処理してから調理することになります。
赤ズイキの甘酢漬け
軽く湯通ししたハス芋

 色は違ってもシャキシャキとした独特の歯ごたえは共通です。それに断面をみれば判りますが、茎にはたくさんの空洞が開いており、ここにだし汁などをグッと吸い込むので味が入りやすいのが特徴です。

 紅ズイキは切断面から灰汁が廻るので、必要以上に短く切らずに出荷されます。以前は収穫した長い(1.5m~2m)ままで市場に出回りました。中央市場では長槍のようにズイキを担いで歩く仲買人をみましたが、昨今は取り扱いやすい長さに切ったものをパックに詰めて取引されます。一方、白ズイキは日光を嫌うので規定量を遮光箱に詰めた状態で大切に運搬されます。奈良はこの白ズイキの生産地としても有名ですが、大半は京都大阪で消費されるようです。

ハス芋の断面
紅ズイキの断面



















 
 ちなみに関西圏以外でズイキは「いもがら」「ほしずいき」「ずきかんぴょう」などと呼ばれ、主に乾燥させたものが取引されます。こちらの呼び名ならご存じの方もいらっしゃると思います。これから蒸し暑い季節には、ハス芋や冬瓜など涼しげなあお色の野菜がお料理を引き立ててくれます。

2014年7月1日火曜日

はり新の周辺観光案内 〜 半夏生餅と蛸 〜



●明日72日は半夏生(はげっしょ)です。
井戸に蓋をして半夏生餅、蛸を食べましょう。










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●雑節の一つ「半夏生」は、かつて農家さんには大切な暦日でした。この日までに農作業を終えて、ここから五日間は休みをとらなければなりません。特に半夏生の日は天から毒気が降るとか地に毒が生じるとの言い伝えがあり、井戸に蓋をして毒気を防ぎ、この日に採った野菜を食べてはいけないとされました。また、この頃には麦を混ぜた「半夏生餅」や旬の蛸を好んで食べました。奈良県は農業の盛んな土地なので、この様な風習が色濃く残る地域があります。   

これらの言い伝えは、蒸し暑く体力の消耗する季節に積極的に身体を休め栄養価の高い旬の食べ物を食べて英気を養いなさい、との先人の知恵でしょうね。

先日630日は、1年の折り返しでした。「夏越しの祓」桜井市の大神神社さんにお参りしてきました。78月、奈良盆地は特に暑い日が続くことが予想されますが、77日には興福寺三重塔の特別開扉、81日〜12日までは五劫院特別開帳、8月5日〜14日までは燈花会、8月15日には大文字焼きが予定されています。本年後半も奈良県、そして当店はり新をどうぞよろしくお願い申し上げます。